さきほど体感した地震にしてみても、この建物が崩壊したとしても、特殊な出来事にならない。「非日常」という言葉を死語と感じることと同様に、特殊な出来事、事象、空間への関心が失速、失墜している理由を考えて休日を久しぶりに横になって短い睡眠を挟みつつ過ごす。「日常」と呼べる時間振幅の揺り籠を実感できない者としては、そこに「非ず」と加える立場ではないが、週末の夕方勝どきを降り、地下鉄のプラットホームから花火見物の客で身動きがとれない混雑につかまり、花火を真下から見上げる、これもいうならば「非日常」の知覚体験を求める蟻のような群衆の鈍い歩みの中、人々の挙動に現れる花火への「関心」を眺めつつ歩いたせいで、忘れていたようなことを意味なく思った。

「関心の持続」には種類があって、その選択肢が絶えず関心を牽引する力を放っている場合はただ受け身の持続となる。選択した関心への擁護によってその関心を育成させることもある。時に興味の失せる場合に何かを堪えて、それまでの関心を注いだ自身の愛着の歴史を讃えるような意味合いで、屑同然に失墜した関心の亡骸を拾い上げる。どちらが良いとか正しいというのでなく、ともかく「関心」が持続されれば幸せだ。身体性を喪失する「無関心」のねばねばした淵に落ちずに済む。だが人は横着であり、使い捨ての短命な関心を幾度も取りかえるデバイスを手に、誤解し着せ替え流転する関心の漂流者となることで、喪失を免れるという裏技を知らぬ内に取得するが、関心への持続追求は消える。飛び石の足取りが鍛えられる。

 日々の営みに直接関係性を持たない隙間(非日常というわけではない)にふいに陽炎のように忍ぶ、眼に見えない、なかなか明快に知覚化することが困難である、予感、残滓、影、気配、当惑といった種類の「関心」に囚われると(憑依かもしれぬ)、その曖昧な性質が余計に強迫めいたオーラを羽織り威圧し、近寄る程に失語症のような観念の脱力を促す。最初に諦めがまずありきの真っ暗な闇の手前で絶句する最期の眺めのようでもあり、濡れた真綿が気管を塞ぎ呼吸できない痙攣を、目玉を動かして眺めるしかない、切羽を越えた見極めのように追いつめられ、人間とか精神とは全く別の、原始的な構造の大らかで自明な理に近いものかもしれないという弱い考えも浮かぶが、そうであれば危険だから時間の推移に応じて身から遠ざけることも必要だろうが、押し出した力が不燃物を棄てる手法と化け、不意な喪失にきょとんと惚けることもある。

はるぼう東京都中学校吹奏楽コンクール連続金賞受賞おめでとう。


1978年
3月 – 日本一の高層ビル(当時)サンシャイン60完成。
3月- 第四インターを中心とする新左翼によって成田空港の管制塔が占拠・破壊される。3月31日に予定されていた開港は5月に延期
6月 – 日航ジャンボ機が大阪国際空港でしりもち事故。この機体-JA8119-は1985年8月12日に発生する日本航空123便墜落事故機。
7月 – イギリスで世界初の体外受精児が誕生。
10月 – 福島県警による事件捏造。ーいわき狂言強盗でっち上げ事件ー
11月 – ドミニカ国がイギリスより独立。
11月 – 日本をはじめアジア各国において、中波放送の周波数間隔を10kc(キロサイクル)から9kHz(キロヘルツ)間隔に変更。

1980年
1月にヒューレット・パッカード社が同社初のパーソナルコンピュータを発表。
4月- 任天堂、初の携帯ゲーム機「ゲーム&ウォッチ」を発売。
7月- 牛丼の吉野家が会社更生法を申請。
 ー1983年にセゾングループが再建に乗り出すー
9月 – ポーランドで独立自主管理労働組合「連帯」が結成される。
9月 – イラン・イラク戦争勃発。
10月- 山口百恵の引退コンサートが日本武道館で行われる。
11月- 川崎市で金属バット両親殺害事件発生。犯人は当時20歳の予備校生だった。

29年前のこの年の記憶を辿ると、体感のようなものはほとんど失われている。前後を擦り寄せての事実確認をしてようやく同窓の者の顔が名前を失ったまま浮かぶ。現在と比較すればおそろしいほど情報が少ない世界に居たことは確かで、無知蒙昧を逆手にあらゆる指向ベクトルに根拠の無い正当性を抱くしかない状態だったともいえる。右と左の差異も分からないままHans Bellmer (1902~1975)の線に魅了され、薦められたAbakanowicz (1930~)の作品集を探し歩いた記憶がある。

1983年
1月 – ARPANETがIPに切り替わり、インターネット形成をはじめる。
4月 – 東京ディズニーランド開園。
5月 – ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世が、地動説を支持したガリレオ・ガリレイに対する宗教裁判の誤りを認める。
7月 – 任天堂がファミコンを発売。
10月 – 日本で初めての体外受精児誕生。
10月 – アメリカ軍グレナダに侵攻。
12月 – 第37回衆議院議員総選挙。自民党惨敗。
12月 – アメリカ合衆国がユネスコからの脱退を宣言。

1985年
1月 – ロナルド・レーガンアメリカ合衆国大統領の2期目の任期開始。
2月 – ミノルタカメラが世界初のAF一眼レフカメラ「α-7000」を発売。
3月 – ソ連のゴルバチョフ書記長就任。
3月 – 日本初のエイズ患者を認定
4月 – 日本電信電話公社(電電公社)が日本電信電話株式会社(NTT)に、日本専売公社が日本たばこ産業株式会社(JT)に民営化。
4月 – 南アフリカ共和国、異民族間の結婚を禁止する法律を廃止。
4月 – ソビエト連邦、東カザフスタンで核実験を行う。
5月モスクワ科学アカデミーのアレクセイ・パジトノフがテトリスを開発
6月 – インド航空182便爆破事件。乗客乗員329人全員死亡。
7月 – 長野市の地附山で大規模地滑り、26人が死亡。
8月 – 初の日本人宇宙飛行士として土井隆雄、内藤千秋(現姓:向井)、毛利衛の3人が決定。
9月 – スーパーマリオブラザーズ発売
9月 – プラザ合意。翌日ドルは暴落。この後日本は円高不況を経てバブルへ向かう。
10月 – 国勢調査。日本の総人口、約1億2105万人。世界人口は約48億。*2009年現在は約67億。
10月 – 北米でNintendo Entertainment System(日本のファミリーコンピューターに相当)が発売。
11月 – ロナルド・レーガンアメリカ合衆国大統領とミハイル・ゴルバチョフソ連共産党書記長がスイス・ジュネーブで初会談。
11月 – 過激派による国電同時多発ゲリラ事件。首都圏、大阪を初め各地で線路のケーブルが切断されダイヤが混乱。600万人に影響が出る。
12月 – パレスチナ・ゲリラによるローマ・ウィーン両空港同時テロで20人が死亡
12月 – 第2次中曽根第2次改造内閣発足。

*データはWikiより