Rejection Renunciation

rejection/ridʒékʃən/
名 詞•U•C
1 拒絶[却下, 否認, 排除]する[される]こと.
2 嘔吐(おうと);C廃棄物, 排出物.
3U〘医学〙拒絶反応.
renunciation/rinʌ̀nsiéiʃən/
名 詞•U•C⦅形式的⦆
1 (権利称号野心の)放棄, 断念, 否認, 拒否;C⦅英国用法⦆(遺言執行者の)権利放棄承認書
make a renunciation of …|…を断念する.
2 (欲望などの)自制.
3 絶交, 関係断絶;勘当.
renúnciàtive, renúnciatòry
形容詞
拒絶は、受容(acceptance)、受容力[性]|receptiveness; receptivityに対する態度ではない単独の生物学的な機能と考えると、嘔吐とは、異物を排他する生物学的な肉体の正当な痙攣運動であり、同じように、拒絶とは、嫌悪ではなく(嫌悪であってもかまわない。嫌悪の根拠が詳細に渡ればその拒絶レヴェルが高まるのならば、どうしようもない嫌悪の対象に向かって、最大限の観察・探求知覚が働いた故であるという逆説も成り立つ)、理解(受容)をやめる意志とも云える。受容せず突き放し、「認める」、あるいは「受け止める」といった、出来もしないことを出来ると錯覚せずに、単に拒絶することは、こちらとむこうの存在の固有に戻るだけであり、差異が一層明らかになることで、拒絶知覚というものは、知覚対象が理解不能であるが故に、機能の根拠となる。その皮膚とこの皮膚は同じだと錯覚するシステム(知覚の萎えるシステム)が「社会」であり、複雑な社会は拒絶という免疫自己治癒力を低下させ、自己免疫疾患の混乱へ促す性質がある。異物を同一体として取り入れてしまい、挙げ句は主体を破壊される。あるいは、自己を異物と自傷する。
元来、拒絶の世界(知覚対象)は大きく広がっていた。世界が母性に満ちた甘い幼児期が過ぎれば、まず対外的な拒絶に出会う。存在を否定され理解されない。そういった側から、拒絶の側に立つ。世界は理解不能の豊穣を、こちらと無関係に滾らせているばかりであり、受容の錯覚、認識と認めの錯覚は、人間的というよりも、人間の隙間を埋める間主観的な風のようなものだから、累々と関係性に頓着すれば、その空虚さに嘆くしかない。対象に対して感応しているほとんどは、どうしようもない理解不能な対象に全的な知覚が働いていると看做すべきであるかもしれない。
美学を考えるとき、この拒絶知覚に基づく美意識といった思念は、滑稽なほど特異な眺めであり、本質的には矛盾した倒錯でもある。それはむしろ拒絶の力を更に漲らせるのが筋だ。単に理解されたくないという「意味」での拒絶の身ぶりは、理解されたい生理の背理であって美とは無関係であり、胎内回帰願望にすぎない。理解できないコトにわからぬまま拒絶対峙するしかないという或る種凄惨な態度が、だから倫理的である。
「其処」にいかなる手法で辿り着いたとしても、荒野のまま非人間的な世界が開かれていなければ、風になって消えるということだ。
「嘔吐」 / ean-Paul Charles Aymard Sartre (1905~1980)の、ロカンタンの「不安」「嘔吐」と、ここでいう拒絶倫理とは、置かれるべき時空が異なっている為に、リアクションと機能も変わるのだといえる。