根拠の検証の時は過ぎて

 こう在るしかない状況の検証に費やした時間を振り返り最早検証的な仕方を散漫に展開する理由はなくなったようだ。この途方にも暮れた官能の働きを丁寧に否時には乱暴であっても折り畳んで手のひらに乗せ、散乱に戻すのではなく、積み重ねるように置かねば仕方がないと知る。

 呼吸の深さ。歩みの速度。見つめの広がり。聴こえの感触。声の抑揚。黙読の響き。引き寄せから押し戻し。生きている事の坦懐。などを平凡の内に積み重ねるということ。触れるならその与えと享受を同時に魂とすること。隠さぬこと。曝す晒すのではなく単に光をあてること。顎をあげること。