実相
文字自体の字体や印字の大きさは勿論縦書きか横書きかに加え手に取る頁・メディアの大きさと質感なども、所謂文字というより文体文脈の実相への関わりの距離という知覚レベルに直に影響する。描写がレトリックを極力排除し説明に終始する言語感を示す文体、文字との距離を基本とすれば、詩体のそれは視覚的な配置と仕組まれた発生音声などにより距離は膨張しあるいは近視眼的に接近する。同じように言語がレトリックによって屈折し意味のネストによる錯綜を醸す場合は言語字体の意味の限定が時に解かれ時に一点を示し、聞こえてくる発生音が日常会話の音律や節を逸脱する場合も行間と謂われる余白が揺らいで言語それ自体でないイメージや印象が文字を凌駕する。 |