ドラキュラの倫理を追求すると、異常が普遍性を纏うことになる。
固有が異常であるという短絡を考えると、異常を全て排除する事自体が、異常であるというパラドクスに陥る。
正常を装う異常の傾向があるとして、この異常と正常の間に漂う「メタフィクション」のような口調に安住するしか術がないようにも思える。だが実は、観念の傾きの加減にすぎない。「わたしだけは特別だ」と気づかずに長い時間苦しむこともある。
Stone (2010) / John Curran (1960~) (director), Angus MacLachlan (writer) には、久しぶりに恐れ入った。ミステリーでもクライムサスペンスでもない。日本のサイトは酷い。
映画でなければできないことが実現されているけれども、脚本(台詞)の表音言語ならではの緻密さ、そのカット、シーンに対する制作者それぞれ(カメラ・脚本・演出・編集)のクオリティー、姿勢には、脱帽した。日々酷いものしか眼にしていないからかもしれない。こうした現実を、ほらと救いとる手法は、やはり王道を恐れずに観念に訴えなければ。と非常に勉強になる。同世代の監督ということは観た後で調べたが、その眼差しにいちいち頷いていた。The Killer Inside Me (2010)では、脚本を書いている。
キャスティングの割につまらないという幼稚なレビューも多々あるが、みつめの角度によっては、どこが面白いのかということなのだろう。ラストシーンには震えた。人の一瞬の仕草の映像的焼き込みの、文化が違う。
予約録画が唯一楽しみなcold caseも、最近映像の制作クオリティーが向上していて嬉しい限り。
Pandorum (2009) / Christian Alvart (1974~)
Frozen River (2008) / Courtney Hunt (1964~)
The Extraordinary Adventures of Adel Blanc-Sec (2010) / Luc Besson (1959~)
と続ける。Louise Bourgoin (1981~)はよろしいが、やはりLuc Besson には、お手上げ。観なければよかった。
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