木陰

 分枝ペーパー(branching)のフォーマットを利用して、ここ数年の自身の制作と伴う日々のエッセイを併記したペーパーを制作する。
 夏に出品する機会に合わせたものだが、メディア版下を組み立ててから、作品展示の余計な思弁とならないか若干の憂惧はある。通常ならばDMとかフライヤーで済ませるわけだが、ここ二年程の制作進捗にかなり煮詰まった偏りが見受けられ、而もパラレルに現象化していたこともあり、視覚的に振り返りたかったことを理由とした。こちらの日々の取り留めの無い制作は、そもそも節度を持ってコントロールされていないので、幼気な自由研究の混濁のようであり、恥が混在している。殊更こうした老境の個人的な過ごし自体に意味を与えるつもりがないので、誤解を招く怖れもある。
 ただ、数年の自らを振り返るという眺めを持って、こうしたモノを拵えてみると。妙な繋がりと断絶が見えてくるので面白い。同時に併記した過去の記述は、幾つか改稿した。屈託のメモ書きであるものを読み返すと、言葉が勝手に飛躍して何も伝わらないということが見受けられるからだ。手直ししたとはいえ、マニュアルを判り安くする程度のことに過ぎない。