37年


 高校の入学祝いに買ってもらった音響システムを大学卒業まで使っていたが、電子楽器と一緒に解体して、椅子に組み上げて、1986年の企画展に出品した。幾つかのラジオとテープレコーダーは使えたものの、倹しい青年の部屋で使い回すほどに、電圧ショートし廃棄とした。骨格に使用した椅子はなかなか良い形をしていた。
 山の中で録音機器にて環境を採録したのは、勝鬨の湾岸から地下鉄や、バスの中など移動採録し、狭いオフィスに持ち帰りヘッドフォンで聴耳を凝らす反復生活の慣習継続にすぎないが、ヘッドフォンの必要がなくなった空間では時折鍵盤を慣れない指先で辿ることをしながら、仕事と制作の隙間に、茫然と音響に身を任せている。

 漫然とした戯れでない、構築物としての音響を考えようと、システムを取りあえず意識が流れるように接続したけれども、仕草を考慮したデバイス併置の再考が必要と感じている。ソフトとハードの兼ね合いも、断片的且つ自立的な局面にて都度かなりのイレギュラーが想定されるので、ミキサーをふたつ加えた計3つ、ハブとして使ってみるか。何事にも邪魔をされない潤沢な時間が欲しいと願って、若干それを手にしても、年齢的なものと思われる集中持続力減衰が顕著であり、最近の体調管理調整に加えてどうにかしたい。

 Crossing 1986 / Kaneko Art G1 Kyobashi Tokyo