mountainside 012320




 三年前の三月十一日に開催された霜田さん主宰NIPAF2020に、参加作家としてパフォーマンスを行う際に制作した素材が、丁度成行きで、Logic Proを久しぶりに起動するに至った折りに紐づけられていたので、2013~2019の間にライカモノクロームで撮影し選別した静止画像のスライドショー+音響動画を、自らの肌を間近でみつめるような感覚で眺めていた。
 NIPAF2020は、2011年の東日本大震災の日であったので、311以降の自らの眼差しを振り返り、当日は何もすることができない無力に途方に暮れた者の、それでも生きていく筋と系を率直に示すつもりがこの素材にはあり準備したものだった。パフォーマンス自体は、レスキューシートから切り出して制作したカンバッジを観客に手渡しプレゼントするというもので、投影される映像の前に、丸く切り抜かれて穴の空いたレスキューシートをタープのように交錯させ垂らしてから会場を練り歩いたので、観客からは映像が判然としない見えにくいものだったと思われる。映像素材は、勝鬨から山に移動してからの私的観測記録光景でしかないが、デバイスの性格と記録性以外付与されていない(作品化されていない)ことが、現在の私にとっては救いと感じられる。
 油彩や木工ボンドとかの素材乾燥を待つ時間、読書と音響などの享受に感けていた日常を、多少音響構築に注ぎ改変しようと意気地が立って、ソフトを立ち上げたことで、過去の無神経なサンプリング音響の不具合にも気づき、かといってどうしてよいのか今のところ仕草は流れず、固まったままではあるが、週末に予定しているギャラリートークと、来月末に招聘された私の講演会にて、この展開が具体的に事象化されればと考えている。