反芻

このところ寒さが失せたと思っていたら三月で、記憶のなかの季節の匂いが突然鼻先について、あの時は、、、、と憶いだそうとする。眠れずにいる時間を、苛立ってすごしている。「マリジナリア」を読んでいる。時間の流れがはやい。ながされて、時々渦巻いて、禍。「眉雨」「斧の子」「叫ぶ女」と辿ったところで瞼がおりていた。古井由吉の作品は、読む度に、時間と空間に添って変容し新しい。
夢をみる。起きて、わけもなく夢を弁解がましく反芻する。夢など捨てるように生きてきたような気がした。現実感の喪失の証拠とみてとっても、身体には凶の兆しをそれと示すものがみつからない。だから尚のこと困ってしまう。