042723


 それぞれの平面は乾燥を待つ度に新たに行うことがみえてくるので、筆を置くまで遠い。落着きのない併置の並ぶ寝食が犯された制作室を行き来して、だがあと1ヶ月なので、そろそろおおざっぱな展示景を構想しようと取組むと、個別平面の手元で浮かべていた感触が翻って、思いがけない景となる。
 これまで二度経験のある空間での展開となるので、現場での振舞いを計画で縛るつもりはないが、私の平面スケールが腕を伸ばした距離での知覚思索であり、身体を移動させて視覚を開放するタイプのものではない個別併置となり、インスタレーションとは呼べない水平に連なる絵巻的な展開は、まず空間が前提である場合、併置所作には、空間仕様に従うべき限界(配慮)がプライマリであるが、今回もまた、先月訪れた徳田秋聲記念館を浮かばせる、資料が並ぶかの併置とさせていただくことにした。
 突き詰めたスタイルをブランディングして提示するのではなく、日々の屈託を含めたエッセイ的な思索の、個人的な世界線(パラレル)をそのまま提示するということを猥雑になっても構わないと2019年に行い以降継続しつつ、この提示の仕方は社会的なアプローチではないという自省を含めた自覚はある。これは個人的な時代観測に依るものであり、スタンスの問題であると考えている。
 とはいっても、ここ数年を並べてみると、捩じれて寄り添うようなバイアスの類いは数種類あり、あるいはクリストのプランドローイングのような、マケットモデルのようにも眺められるので、再びまたPreiserの1/50フィギュアを取り出してみる。