walnut jaxtaposition

 黒胡桃の端材を手に入れた途端に、中途の平面を放り出して、積木をはじめていた。昨年の秋には取組むつもりだった立体彫刻が関与不能となり、雪の降る屋外で制作することを諦め、バラバラ霰が降る音の絶えない騒ぎの平面ばかりに携わっていたので、視界閉塞のストレスがある。
 蓋し扱う端材が、掌上から弁当箱程度とボリュームを変化させたことで、十年以上遡って取り組みを再開した当時の併置へ近寄るので、殊更に経年の見落としの数々を拾い上げることになる。同時に平面の閉塞感が、この拙い積木所作によって、融けて崩れる好ましさがあり、一旦片付けて、また取組む反復に二日三日時間を預けた。
 本人は無頓着だったが家族の指示に従うことにした身体の都合で診察を受け、薬の服用と自制を医師より指示されたことが重なり、これがどう作用するのかわからないが、経過は良好で、意識も清涼感がある。町立の病院での診察だが、世代を交え七割は女性の患者で、通院の曜日も関係があるだろうが、なるほどと得心する。母親の通院引率は市街地の混雑した病院であるので、動く人を数えることができる山町病院は、長い時間座って待つこともそれほど苦ではない。
 来月に迫った展示で積木を併置するかどうか決めていないけれども、夏には展示をと考えた積木組み直しの時間を、月後半にはゆっくりと充てたいので、展示予定の平面は、思索を了するつもりなく、放り出すことになる。