072022

 一ヶ月慣れないことを続け、それでも昨今の事情を若干知り得ながら、初動の妄想をなるべく現実的な土俵で展開するために家族であれこれ意見を交換し土台のようなものはできたが、「建築」に関心はありつつも、好奇心をたっぷり注ぐことをしてこなかったので、現代の相対的な類型をまず知らない。模型をつくらないと頭が回らない。素人はおそらくこの辺でプロに預けるのだろう。

 油彩の乾燥遅延を見越して早々に手をつけていたものも、建築構想に時間を奪われて、覗き込めば都度思念が手元に溢れていた静けさが幾度も切断された。モノのおもしろさは、そんなこちらの都合や意識と無関係に、振舞いがくっきりのこされてあるので、夥しい縛りに悩ませられた図面作成の混沌が、むしろそのきょとんと放られた小さな画面の朴訥な中途の状態によって、なんだかすっきりと解される。
 ある種の深さへと意気込むと諄い傲慢となり、軽く明るくと粋がると相応を失って恥が膨れる。振舞いを清楚な蝶の羽根程度の凛々しさに留めよと、手元の動きが示すので従う。