坂の上には2系統のバス停があるけれども、ゴミを山積みにしたトラックが行き交って埃が舞うのが辛い。
妻がまだ壮健な酒で陽気になった近親の祝い客に、土地の説明しながら長い板張りの廊下を先導した。
L路の廊下は平屋にしては奥行きがあり、突き当たりの部屋には並べる家具がなかった。
運び込まれた荷も解かずに家族でそんな床に直に座り込み、客の残り物を夕飯にしながら、妻が絆創膏を巻いた細い指で、小さな使い古した旅行ガイドに掲載されている東北の寺院の内庭に飾られている藤の花の造りものを指差して、説明されている名前の読み方を尋ねたが、知らないなあと答えていた。
下の子が、これを飾るの?どこに飾るの?と何度も妻の背中に乗って繰り返した。
よくもまあ、こんな安普請のものを、安易な場所に平気な気持ちで誂えたと、独りで再び長い廊下を眺めながら、とうに暮れた暗闇をいまだに前のめりな感じで突き走るトラックの響きをむしろこの新開地には似合いであって、これも時間の経過とともに失せていき、懐かしく思う時を迎えるに違いないと弱く受け止めていた。なるほど今は過去だからワタシも若いということかと、矛盾した状況の認識も酒に酔ったように甘く広がるだけだった。
早朝の人気の無い時間に外に出て、ここに家を建てることになるとはなあと、子安坂上のバス停の時刻表を辿り、若い頃星を眺めに叢に立って夜露に濡れた片倉城址へ歩き出していた。

朝9時から午後4時迄の6時間業務4日分を1日で済まし、4日分の睡眠を短く一挙にとる計画の、つまり8日を過ごした2回目の短い闇の中で夢を見ていた。藤の花の飾り物を調べたが、夢の中では6文字程の漢字を辿ってその音読みにも訓読みにも首を傾げた筈の名前が判然としない。夢だからと放った。
途中、試験初日から戻った次女から報告を受けて、まだあと2日もあるよ。と受け止めた時、随分長いなあと、一週間を当て嵌めていた。
冷え込みますと気圧の谷が列島を下がる図を示すニュースを消音して眺めてから、外に出ると心地よい気温だったが、こちらにしてみればまだ冬とはいえない。


長女のiPod nano 4GBが一杯になったようなので、少し早いがX’masプレゼントだからなと釘をさして、iPod touch 8GBを注文。
次女が英語のヒアリングのテストがわからなかったとぼやいたので、対策を考えることにする。
レッド・マーズ(上・下)、グリーン・マーズ(上・下)/キム・スタンリー・ロビンスンが届いたので、前のめりに尖った姿勢を解こうと、レッド・マーズ(上)より捲りはじめたが、劣悪な業務スケジュールの為か、視力が極端に低下し文字が読めない。諦めて少々恢復の為の睡眠を摂ることにする。

横になってから、学生の一時期馴染んだ場所が唐突に説得力を持って夢に顕われたのは、magarioが持って来た大学の芸祭パンフレットにあったマップのあまりの変わり様に思わずgoogle mapを覗いたせいだと、無意識の混沌がもたらす微妙な物語に、再び感心していた。

jacket_m.jpgSPINOZAURUS「おんなのこえ」データアップ
Rie fu : いつだったかikedaに、ロンドン留学中ですがと教えてもらったと記憶にある。声の質が印象的。学生の頃の友人のgirl friendに似ている。Float’n Flow/Beat Space Nine/M-flon
PV’decay’がよろしかったので、アコースティックなファーストアルバム(2005)をamazon注文。