徳田秋聲 (1872~1943)を鮮明なにじり寄りで言及する古井由吉の東京物語考から促され、戦前までを振り返る気分に煽られる。

丁度百年前のこの国での自然主義(文学)が客観性や構成力を失い現実を赤裸々に描くものに成り下がったとしても、日露戦争から昭和初期迄のこのディスクール潮流の浮き沈みの必然とも思われる痕跡は現在の自身にとって酷く惹き込まれる。