beyond1993autumn-1994spring 109min
beyond1994autumn-1995spring 90min
平面制作の合間にカメラをぶらさげて歩くことが、こちらの精神(?)を安定させることになり、興味も人並みに進んで中型を重い三脚に乗せ汗を流しては、モノクロームとリバーサルを撮り続けていた。1993年頃から写真自体がまともになってきたと自惚れることにして、スライドをVTRに変換して、撮影の経過を試したのがきっかけとなって、VTRパッケージの作品を制作することにした。画質の劣化を我慢しても、見合う新しい想像力が加えられた。
目玉で眺めるということを積極的に考えるには、カメラというすでに日常のアイテムとして定着した仕方で、フィルムという鮮明高画質なビジョンを残すことが、平面を制作し続けるぼくにとって、都合がよいこととなっていった。ある時には平面を遠ざけ、ある時には写真自体を嫌いながら、ふたつの行為を行き来することで自然な仕草として落ち着きつつある。写真作品といってはみても、好んで選択する被写体があるわけではない。テーマやコンセプトを突き詰めるところまでいかない。つもりがない。日々の現実そのままでありたいと願った光景への参加であり、気分でもあり、こうして辛うじて世界を眺めて繋がっているという、自己の投影である。
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