Bushcraft

 

 人が外に出向いて散策し、火で煮焼きして喰って一晩寝て起きるために、辺りの自然物を使って仮の宿を仮設するブッシュクラフトの映像を眺める時間が増えた。遠方に居住する娘一家も家族で時折見るという。再生回数も多く、あるいはより多くの再生を計って工夫を凝らしたものもある。
 ものをつくる者として、端的な目的のため即興的な知恵と判断で拵えていく過程を眺めると、この行為に凸凹が感じられるほどに、彼固有の人間性というものより、普遍的で類的な身体と精神の揺らぎが命の塊のようなものに感じられてくる。
 青年期、多くの人間が狭いアトリエに座して絵を描く、少々気の狂ったような修練の場所で、時折筆を止めて、他人の描く行為を眺めていた記憶があり、こちらは決して行わない決定の積み重ねが反映する彼の画面よりも、指先や横顔や背中などに目玉は吸い寄せられるようだった。酒の席で絶えず煩く喋る私に対して、一人の友人が、「お前は黙って制作している時が一番良い」と指摘したことがあり、彼の言葉は音声を伴って40年以上鮮明に記憶されている。
 立ち振る舞いと身のこなしである所作が淡々と移りゆく映像で示されるブッシュクラフトは、こちらの硬直した生体の状態を治癒する効果があるものだから、自身の所作へと戻って力を抜いて、同じようなそこそこの即興と知恵と凸凹の所作によるものの現れで、例えば家族がこれを眺めて穏やかになると良いなと。